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Research

1. 病原菌・薬剤耐性菌に関する研究

 多種多様に存在する微生物の中でも、実は病気を起こす菌はほんの一部にすぎません。人や動物に悪さをするそれらの微生物は病原菌と呼ばれます。病原菌と非病原菌の違いは病気に関わる「病原遺伝子」をもっているかどうかです。この違いによって病原性や薬剤耐性が生じるのです。逆に言えば、この「病原遺伝子」を目印にすることで、どの病原菌がどれほど広がっているのかを調べることが出来ます。また、病原菌の特性や病気に関わる因子を特定し、解析することで、それがどの遺伝子にコードされているのかがわかります。そのため、その病原因子を病原菌のみに作用する新しい薬のターゲットにすることも出来ます。本研究では、病原遺伝子の広がり(疫学調査)や病原微生物の特性解析を行うことで、その病原微生物が引き起こす感染症に対する防除策へ繋げる研究を進めています。

主な研究テーマ

  • 野外から集めたマダニに潜む病原体の検出
  • 黄色ブドウ球菌の分泌因子の機能解析
  • 細菌の細胞構成因子の生合成系の解明
  • 病原菌における病原性および薬剤耐性メカニズムの解明
  • 病原遺伝子や薬剤耐性遺伝子の疫学調査

など

2. 病原体の媒介に関する研究

 マダニはクモやサソリと同じ節足動物の仲間であり、人や動物に寄生して吸血します。マダニは蚊と同様に多種類の病原体を媒介します。このマダニはウイルス、細菌、原虫を媒介するベクターとして知られています。私共はマダニの抗酸化機能、初期免疫、病原体媒介能について、日本国内優占種である『フタトゲチマダニ』を用いて研究を行ってます。本研究では、マダニとマダニ媒介性病原体を阻止するための基礎的技術基盤を確立し、新規のマダニ生物活性分子群を創薬活用するための開発研究を推進しています。

主な研究テーマ

  • マダニの抗酸化と初期免疫に関わる分子の同定
  • マダニとウイルス、細菌、原虫の相互作用の解明
  • マダニのマダニ媒介性病原体を制御する分子の同定
  • マダニ共生微生物のメタゲノム解析
  • RNA干渉法やCRISPR/Cas9を用いた遺伝子機能(ノックアウトやトランスジェニックマダニ(細胞)の研究)

など

3. 抗マダニ・抗菌に関する研究

 感染症防除や成長促進作用を目的とする抗生物質の飼料添加は、近代の集約的家畜生産システムの発展を支え、安全な食品の安定供給のために欠かせない重要な手法となっています。しかし、抗生物質は細菌の生存にとって強い選択圧として作用するため、飼料添加によって選択される薬剤耐性菌が、人の健康に影響を及ぼすことが懸念されています。そのため、使用抗生物質の低減化のためには、抗生物質に代わる新規な感染防除システムの開発が世界中の畜産業界における持続的な発展のために重要な課題となっています。本研究では、ワクチンや抗菌ペプチド、金属ナノ粒子などの抗生物質に代わる新規抗菌剤の開発を目指し、分子生物学を基にした基礎学術的な作用メカニズムの解析を行っています。

主な研究テーマ

  • 抗マダニワクチンの開発
  • 新規抗菌ペプチドの探索と作用機序解析
  • 抗菌性を発揮する金属元素の探索と金属ナノ粒子を利用した抗菌剤の開発
  • 金属ナノ粒子(セレンナノ粒子)の生合成と抗菌のメカニズム解明
  • 病原菌やウイルスに対する新規抗菌素材の評価と抗菌メカニズムの解明

など