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 微生物(寄生虫や菌類、細菌など)は地球上でもっとも数が多く、極めて多様な生物です。驚くべきはその生存能力です。動物に寄生して血を吸うマダニは適応能力が高く、飲まず食わずでも長く生きられるものもいます。細菌は、一般的な生活環境から熱水付近や深海、氷山などの極限環境、さらにはヒトや動物の腸内や表皮まで至る所に存在し、その環境に適応しています。一方で、これら微生物も私たちヒトも同じ5種類の核酸塩基から成る遺伝子で情報を管理し、同じ20種類(生物種によっては21~22種類)のアミノ酸を基に構成されています。

 多種多様に存在する微生物の中でも、「病原性」をもつ悪さをする微生物はほんの一部です。私たち動物微生物学分野では、家畜動物や環境衛生に関わる病原性微生物のもつ「病原力」の研究を進めています。特に、「病原菌の何が悪さをするのか?」、「どうやって病原菌は広がるのか?」、そして「薬が効かない病原菌はどこが違うのか?」といった疑問に対して微生物の代謝や生理現象、免疫機構に注目し、遺伝子やタンパク質のレベルでそのメカニズムの解明を目指しています。また、それらの知見と新しい解析手法を取り入れながら、抗菌剤などに利用する新しい感染症防除策の開発を行っています。

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